大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 昭和29年(う)782号・昭29年(う)783号 判決

なお職権で調査するに、原判決は本件に対する法令の適用として刑法第二百三十五条第五十六条第五十七条第四十五条前段第四十七条本文第十条第十四条第四十五条後段第五十条と記載し、併合罪に関する法律の適用として刑法第四十五条前段第四十七条本文第十条第四十五条後段第五十条を適用したのである。右の意味は必ずしも明らかではないが右は本件十二個の犯罪が刑法第四十五条前段の併合罪であると同時に後段の併合罪ともなるものとしたものと解するの外はない。しかしながら或る数個の犯罪がいずれも或る確定判決前に犯されて居る場合には右数個の犯罪が右確定裁判にかかる罪と刑法第四十五条後段の併合罪を構成すると同時にそれ自体として同条前段の併合罪をも構成するというものではない。被告人の原判示第一乃至第十二の各罪はいずれも昭和二十九年一月十三日宣告にかかる住居侵入の罪の裁判確定前に犯されたものであるから之等の罪は止だ右確定裁判のあつた住居侵入の罪と併合罪の関係に立つのみであつて、その併合罪中本件各罪は未だ裁判を経ない罪であり且つ懲役刑に処すべき罪が二個以上あるときに該当する訳である。従つて原判決は本件十二個の罪に併合罪としての法条を適用するに当つては刑法第四十五条後段のみを適用すべきにかかわらず更にこれに加えて同条前段をも適用したのは法律の適用に誤があると言わなければならないが、右誤は些も判決に影響を及ぼすものではないから破棄理由とはならない。

(裁判長判事 坂本徹章 判事 塩田宇三郎 判事 渡辺進)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!